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会員による化粧療法が新聞記事に掲載されました

福岡支部会員による活動が新聞記事に紹介されました。


本記事掲載については西日本新聞社の許諾を得ています。

「心身が元気 キレイの魔法」 (pdf)

西日本新聞 2020年10月9日 朝刊 企画プロデュース、新聞記事提供 by Willmake143

身だしなみを整えて気分を明るくする化粧。そんな化粧の効能を活用して心と体の健康増進を図る「化粧療法」が医療や福祉の分野で注目を集めている。加齢による衰えを予防する効果もあるとされ、科学的な研究が進む。研究と普及の現場を訪ねた。
福岡市南区の「西耕作歯科」で8月下旬にあった化粧療法の教室。参加した患者たち7人は化粧に取りかかる前に、講師役の歯科衛生士、印口(おしぐち)亜維璃さん(28)の指導で、温めたタオルを耳の下に当ててゆっくりともみ込んだ。唾液腺のマッサージだ。印口さんは「高齢になると唾液の量が減ります。唾液腺を刺激して分泌を促します」と説明した。
印口さんは化粧品メーカー「資生堂」が提唱する化粧療法を勉強中。唾液腺のマッサージもその一つだ。化粧水などを顔や首筋に塗り込む動作が指圧となってさまざまな効果を生む。また、化粧容器のふたを指で開け閉めすることや、眉を描いたり口紅を塗ったりして腕の上げ下げを繰り返すことが握力の維持や向上につながるという。
参加した同市城南区の今井房子さん(72)は「みんなと会話しながらお化粧して楽しかった。唾液への効果は初めて知った。これから続けたい」と話した。

化粧療法の効果は化粧品メーカーや医療機関で研究が進められている。
資生堂は2010年ごろから大学や高齢者施設などと協力して本格的に研究を始めた。12年、千葉大と共同で関東の介護施設2カ所で3カ月間、利用者19人(平均89・6歳)の握力の変化を調査。化粧療法に取り組んだグループの平均は8・5キロから10・9キロに上昇した。
14年には千葉市にある長期療養型病院で、患者16人(平均87・8歳)に対し約50分間の化粧療法を施した後に唾液の分泌量を調べたところ、平均で2割増加したという。
同社は13年から全国の病院や高齢者施設で化粧療法の教室を開催。16年には化粧療法の知識や指導方法などを習得した人を認定する独自の資格「化粧セラピスト」を創設した。19年までに44都道府県の歯科衛生士や介護福祉士、看護師などが取得したという。同社が今年1月にインターネット上で実施した70代以上の女性300人のアンケートによると、毎日化粧をする人は約3割。高齢化とともに化粧をやめた人が多かった。一方、化粧をする頻度が高い人ほど外出の機会が多かった。調査を担当した池山和幸さん(45)は「化粧は外出する意欲を生む。高齢による心身の衰えを予防する手法として有効だ」と分析する。
一方、脳神経外科医の酒谷薫・東京大大学院特任教授によると、都内の高齢者施設に入所する80代以上の女性の化粧と脳の働きの関連性について調べたところ、化粧後に前向きな感情をつかさどる前頭葉左側の血流が活発になったという。「化粧によって前向きな感情が生じ、ストレスを和らげる効果が期待できる」
18年12月、医師や作業療法士、化粧品の研究者、薬剤師などでつくる「日本化粧療法医学会」が発足した。医療現場での化粧療法の普及や専門家の育成、「化粧療法士」の国家資格化などを目指している。

メーキャップの現場でも化粧療法は早くから試みられてきた。
福岡県志免町の黒木瑞さん(55)はメーキャップアーティストとして活動しながら心理学を学び、90年代後半から独自の化粧療法「セラピーメイク」を提唱。昨年まで福岡市で施術者の養成講座を開いていた。
黒木さんのセラピーメイクは見た目や性格の悩みに耳を傾けながら顔の骨格や全体のバランスなどに応じて化粧を施し、外見の印象を理想に近づける手法だ。
黒木さんがかつて施術した佐賀県内の末期がんの40代女性は治療の影響で頭髪と眉が薄くなっていた。黒木さんが眉を描くと、女性は「自分の顔に戻れた」と涙をこぼし、ほぼ寝たきりだった上体を懸命に起こして壁にもたれかかり、施術を促したという。
黒木さんは「化粧は外見だけでなく内面も変えてくれる。なりたい自分になれる魔法のようなものだ」と話した。



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